We Might As Well Win
先日競技に復帰することを発表した自転車ロードレース界のスーパースター、ランス・アームストロングを擁して「地球上でもっとも過酷なスポーツイベント」と呼ばれるツール・ド・フランスを7回制した名将、ヨハン・ブリュイネールが書いた、勝利への指南書。全17項目に渡って、「勝つ」ために彼がやっていることを簡潔に、かつ自転車ロードレース中に彼が実際に考えたことを実例として織り交ぜながら解説している。
どれも金科玉条と呼ぶにふさわしい内容だが、僕が特に気に入ったのは4か条目に彼が挙げているこれ。
Do whatever it takes to communicate
コミュニケーションをしろとか、コミュニケーション力が必要とか、よく聞かれる話。彼のチームは自転車ロードレース界でおそらく初めて、走っている全選手に無線を持たせた。コミュニケーション重要だから。でも今となってはそれはもう当たり前のことになっている。だからこのタイトルを見たときに、彼はこの項目で何を言うのかすごく気になったのだが、彼はこんなことを書いている。
When it comes to tactics, the radios don't suddenly make you say brilliant things.
よく「レース中にどんな秘密の言葉を話して選手に力を出させているのですか?」なんてことも聞かれるらしいのだが、彼がランス・アームストロングに無線で話しかけたことはそれ自体全然大した内容ではなく、「踏め踏めもっと踏め」とか「2馬身差だ、3馬身差になったぞ」とかごくありふれた内容ばかり。なんかすごいことがいきなり口をついて出てくるわけじゃない。じゃあ何が大事なのか。
The true value of communication is often not so much what you say to each other, but the simple, powerful fact that you care enough to say something to each other so often. It's the connection that matters. Hearing each other. Speaking to each other.
ツール・ド・フランスを8回も勝利した監督に自分が普段考えていることを書かれるとなんとも自信になるねこりゃ。
第1か条目が「Follow your heart, but bring along your head.」とかいうのもすごい。先日改めて聞いてまた感動した、2005年にSteve JobsがStanfordの卒業記念講演で話した内容とかぶりつつ、でも少し違うことを言っているあたり、なんというか、本というやつは出会うタイミングってものがあるんだね。
We Might As Well Win - ヨハン・ブリュイネールが、癌を克服して復帰したランス・アームストロングにいった言葉。出るだけじゃない、勝つこともできる。自転車レースと違って普段の生活で勝利をどう定義するかはそれだけで難しい問題だけど、「If you are breathing, you still have a chance to win.」他にも「Trust people, not products」とか「Recruit too much talent」とか、聞かせたい項目が目白押しです。日本語訳も出ているようだけど、一人称で書かれている本なのでやはり原文にあたるべきかと思って原書のほうを買ってみた。