銀輪の覇者
ここまで自転車にはまっている自分のことを我ながらバカだと思う。道を歩けばメッセンジャーの乗っている自転車を目で追い、日曜日の朝は必ずベランダから大井埠頭を走る自転車をながめる。自転車関連だというだけでDVDを買ってみたり本を読んでみたりする。
『サクリファイス』をチェックしたからだろうか、あるいは『シャカリキ!』を買い込んだからか、Amazon.co.jpに盛んにこの『銀輪の覇者』をお勧めされていた。レビューを読んでも、自転車関連の小説の中で高い評価を受けている。ただ、時代設定は太平洋戦争の前、しかも物語の中心となるロードレースは、ワンメイクのしかも実用車だというので、どうも読むのを躊躇していた。
それで結論。自転車好きには何をいまさらといわれるのだろうが、自転車好きなら読んで楽しめること間違いなしのミステリー?小説だった。主人公を含め、「臑に疵持つ」個性的なキャラクターたちが、実用車、今なら交番の巡査しか乗っていないようなあの無骨な形の自転車にのって、毎日100km以上の道のりを、下関から青森まで、日本をほぼ縦断する「大日本サイクルレース」に挑む。スポンサーの付いた金持ちチームに、寄せ集めの急造チームが一泡吹かせる。レースの裏では主催者と関係者たちとのストーリーがきな臭く続くが、表のロードレースは、汗臭く男っぽく、へとへとになるほどさわやかに進む。こいつはドラマ化されないもんだろうか?NHKの土曜ドラマあたりの枠で。
ダイエットのためとか、環境のためとか、通勤電車を避けるためとか、いろいろな理由で自転車に乗り始める人が増えているらしい。僕も、通勤電車に乗るのがイヤだったのが自転車に乗り始めた最初の理由だった。疲れるために乗るわけではないのだから、通勤路を探す基準は、できるだけ坂の上り下りが少ないことだった。それが半年も経ったころには、わざと急な坂のある道を通ったり、丘の上にいるのにわざわざいったん下ってからまた上ってみたりするようになっている。通勤のための手段としての自転車だったはずが、いつの間にか毎日自転車に乗るための方便としての通勤ということになっている。誰もがそうなるわけではないと思うけれど、そうなる人を1人2人でなく目にしたり話に聞いたりしているのもまた確かだ。
「単に人より速く走りたいと思う気持ちだけでペダルを踏んでいる。それだけだ。」
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僕も坂は避けないけど、出来るだけ人が少ない交差点は探しているな。