セカンドウィンド
だいぶ前に最初の巻が出ていて、銀輪の覇者を読んだ頃にはもうAmazon.co.jpから盛んにお勧めされていたんだが、なんとなく買うのが恥ずかしくてスルーしていた。で、ある日の夜、買い物ついでにジャスコの本屋に寄ってみると、エスカレータから目に付く文庫コーナーの特設棚に平積みになっていた。どうやら待望の第二巻が出たらしい。目の前で見るとスルーすることはできなくて、2冊とも買っていた。
帯に「青春スポーツ小説」とそのまんまな一言が書いてある、青春スポーツ小説。スポーツとは、つまり自転車ロードレースだ。第一巻では、主人公の溝口洋が中学から高校に上がるちょっと前まで、青春ってやつを始めようとするまでが描かれる。その中で中心的な役割を担うのが自転車、そしてロードレーサー。中学で競技で自転車やってるなんて、想像もできなかったけど。
こういう年令になるとありがちな、俺って何だ?何が俺を俺にしているんだ?これから俺は何をすればいいんだ?ってな問いに、自転車に乗ることに強硬に反対する主人公のお祖父さんと、幼なじみの女の子が、それぞれ別のコンテキストから同じアドバイスを投げかけるのがイイ。
「自転車に乗ろうが乗るまいがお前はお前だ」「でも自転車に乗るようになって僕は変わったよ」「変わってもお前はお前だ。お前でなくなったわけではない」
「悔いのないように走ってきて、洋らしく」「わかった。俺らしい走り方がどんな走り方かはわからないけど、悔いのないように走るよ」「洋が悔いのないように走れば、それが洋らしい走り方だと私は思うよ」「だって、洋は世界にひとりしかいないから。洋はなにをやっても洋なんだから」
この幼なじみの女の子のせりふ、主人公との会話がいちいちイイ。第二巻では2人とも高校生になっているのだが、相変わらずいちいちイイ。なんとなくお互いを意識しつつ、会うとなんとなく軽口をたたくだけのこの感じ。でも本当に肝心なときになぜかいつもそばにいてくれて、励ましてくれるのだ。青春小説なんだからこうじゃなきゃ。続きを読みたいような、もう続かないでよくて後は自分で妄想したほうがいいような、第二巻を読み終わってなんかそういう感じになっている。
「ぶちかましてやれ、洋」